武士の一分
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原作:藤沢周平 「盲目剣谺返し」 (隠し剣秋風抄新装版収録 )

あらすじ

三村新之丞(木村拓哉)は城で毒見役を勤める下級武士。
孤児だった妻・加世(壇れい)と穏やかに暮らしていた。
通いの中間、徳平(笹野高史)も誠実に仕事をこなしてくれている。

新之丞は毒見役と言う仕事に嫌気が差し、近い将来、子供らに剣術を教えて暮らしたいと願っていた矢先、貝の毒に当たって高熱を出し、一命は取りとめたが、意識を回復した後に、視力を失っていることに気づく。

人の助けを必要としなければ生きられなくなってしまった自分を恥じ、一度は命を絶とうと決心するが、加世と徳平の自分を思う気持ちに心を打たれ、思い留まる。

ある日、加世が男と密会していると言う噂を聞いた新之丞は、徳平に加世の後をつけさせ、加世が、番頭・島田藤弥(坂東三津五郎)との不貞を知った。

加世が島田に体を預けることで家禄を保って来たとを聞いた新之丞は加世を離縁するが、後に、島田が加世を弄ぶために、家禄を口実に加世を騙していたことを知った新之丞は、自分の武士としての「一分」を賭けて、島田に果し合いを申し込む…。


昨年末に放送されたものの録画を、ようやく見ることができたので、遅ればせながら感想を書き残そうと思います。

映画全体に夫婦の深い愛が静かに流れている映画でした。

目が見えなくなってしまった夫に、妻の加世は「それがどうしたと言うのです」と問いかけます。
目が見えなくなっても、あなたがあなたであることに変わりはない、と。
例えば、私が誰かの妻だったとして、夫が突然失明してしまったとしたら、どうするだろう…とか、逆に、もし、私に夫がいて、私が突然失明してしまった時、目が見えなくても私が私であることに変わりはない…と言ってもらえる自分かどうか、とか。
思わず考え込みそうになりました。

新之丞が島田に果し合いを申し込んだのは、
相手が自分を盲目だと思って馬鹿にしているから…と言うだけでなく、
娘時代からその美しさが評判だった加世を騙して手篭めにしたと言う屈辱を果たすためだったのではないか…と私は思いました。

「武士」と言うことよりも尚、「男としての一分」を守るための果し合いのように感じたのです。

相手と共に死ぬことを覚悟しての果し合いで、元々人を騙すことに何の痛痒もない島田は、卑怯な手で新之丞を斬ろうとしますが、実は果し合いのための稽古中に、剣術の師匠(緒形拳)から同じ手で稽古をつけられていたので、騙されることなく、島田への恨みを晴らします。

直後、つがいで飼っていた小鳥の片方が死んでしまったエピソードを見て、もしかして加世は、行くところもなく、どこかで路頭に迷って死んでしまったのではないかと、かなりドキドキしました
が、それは私の想像力が逞しすぎただけの話

徳平の機転で、2人は元のさやに戻ります。
と、言うか、以前よりも絆が深まるのではないか…と思わせてくれるラストでした。

とても静かで、淡々と物語が進んで行くので、テレビドラマで見るような、木村拓哉さんの姿を期待していると、ちょっと物足りなく感じるかも知れませんが、
私はこの映画で、木村さんは台本にある「行間」の理解や物語の空気を把握がスムーズにできる人なのかも知れない、と感じて嬉しくなりました

壇れいさんは、佇まいがとっても美しい女優さんで、今後の作品も見てみたいです。

脇役の俳優さんたちも素晴らしかった。
この人達がいるから、新之丞や加世の存在がより輝いて見えます。
個人的には、特に、笹野さんと緒形さんに注目してもらえると、とっても嬉しいです



映画/DVD | 【2008-01-08(Tue) 18:19:13】 | Trackback(-) | Comments(-)