レナードの朝
あらすじ

1969年、マルコム・セイヤー(ロビン・ウイリアムズ)は、ニューヨークのべインブリッジ病院で、臨床精神科医として働くことになった。
セイヤーには、実際に患者と向き合い、対応した経験はなかったが、彼らの役に立ちたい、と思い始める。

セイヤーは、患者たちと接するうちに、彼らが自分に向って投げられたボールを受け取ったり、視覚から脳への刺激となる模様があれば、歩行したりする者もいることに気づく。
同じような反応を示す患者を集め、彼らに共通する事柄を調べ始めた。
そして、彼らはみな、1920年代と、1930年代にアメリカに広まった「嗜睡性脳炎」にかかっていた共通点を発見する。

セイヤーは、ある学会で発表された、パーキンソン氏病のために開発された「Lドーパ」(ドーパミンの先駆物質)と言われる薬が、自分の患者たちにも有効なのではないかと気づき、病院の許可を取り、ある患者の家族からも同意を受けた上で、30年もの間眠り続けている、レナード・ロウ(ロパート・デニーロ)にLドーパの投与を開始する。

レナードは薬によって30年の眠りから覚め、医学的な軌跡が起こったと感じたセイヤーは、病院側を説得し、全ての嗜眠性脳炎の患者に薬の投与を提案するが、費用がかかりすぎることもあり、病院側は否定的な態度を取る。
そこでセイヤーは、病院スタッフからのカンパと、寄付団体に、目覚めてからのレナードのフィルムを公開するなどして寄付を募り、嗜眠性脳炎の患者全員に、薬を投与することができたのだった。

患者たちはそれぞれに目覚め、始めのうちは目覚めた喜びに満ち溢れていたが、その内に、人生の大半を眠って過ごしてきたと言う事実、そして、「もう若くない」と言う現実と向き合うことになった。

レナードは神経障害と戦いながら、失ってしまった時間を取り戻そうとするかのように、あらゆる経験を求め始める。
セイヤーはレナードがあらゆる経験ができるようにとレナードに手を差し伸べ、レナードはセイヤーが薬についての知識をより多く得られるように、と互いに協力し、友情を育んで行くが…。


私は、映画、ガープの世界を見て以来、ロビン・ウイリアムズさんが大好きで、出演されている映画を見る時は、いつもロビンの「目の奥」の表情に注目しています。
演じる人物(人じゃないこともるけど)の思いを、目で表現するところが素晴らしくって、いつもドキドキしています

この映画は実話を元に描かれたものなので、フィクションと並べようかどうか、少し迷いましたが…。
おおまかな流れが似ているせいか、映画を見ている最中に、ダニエル・キイスの小説、アルジャーノンに花束をを思い出しました。

最終的に、薬の効果は一時的なもので、薬を投与された患者たちは全員、また長い眠りについてしまいます。
(色々な方法を試す中で、短い目覚めを経験した人もいるようだけれど、長時間に渡って目覚めることができたのは、「1969年の夏」だけのことのようです)

私は始め、どちらかと言うとセイヤー目線で物語を見ていたので、患者たちが回復した時は嬉しくてワクワクしてしまったんだけど…。

ふとレナードや他の患者の目線に立った時、凄く恐かった。
もし自分が何十年も眠っていたとしたら…。
身の回りにあるものは、自分が眠る前のものとは比べものにならないくらい、進化した立派なものになっているだろうし、知っている人たちは、自分の知らないこと、経験のないことを、沢山経験した上で、歳を重ねている。
けれど、自分は「ただ歳を重ねている」だけ。

レナードの場合は、まだお母さんも健在だったから、「あれもしたい、これもしたい」って、すんなり思うことが出来たのかも知れない。
でも、目覚めた時に、家族がいない患者さんは、何を希望にたらいいのか、その選択も難しかったかも知れない…。

正直、難しいです。
どうやっても、眠る前の自分に戻ることは不可能。若い時と、30年後の今では、体力も全く違うし、体力が違えば、気力にも違いが出るように思うから。

そんな状況の中でも、「失った時間を取り戻したい」と思うのか、「目覚めない方が良かった」と思うのかで、どうにもならない違いも生まれてしまうと思うし…。

セイヤーは、患者を目覚めさせたことが、いいことだったのか、そうでなかったのか、とっても悩んでいたけど。

少なくとも、レナードに関しては、良かったんじゃないかと思う。
彼は生きることに貪欲な人だった。
薬の効果を調べることに対しても、誰よりも協力的だったのは、「生きたい」と言う思いが強かったから…だと思う。

再び眠ってしまったことは残念だけど…。
レナードは、人を信頼する気持ちとか、人を愛する気持ち…人にとってかけがえのないものを、知ることができた。
知らず死んで行くかも知れない私には、とても羨ましいことです
それに、セイヤーを通して、医学の世界で生きている人達や、神経系の病気に苦しんでいる人達にも、希望を残した。
滅多にできることではないから、そう言うレナードと友情を育むことができたセイヤーも、誇りを持ち続けて欲しい…そう思いました。



映画/DVD | 【2008-01-14(Mon) 21:13:05】 | Trackback:(0) | Comments(-)